指導のヒントが盛りだくさん?
盗みたい意欲的な人はどうぞ…
これらはグループメンバーは全員が共有してます。
@宿題状況
Aフェンシングと数学、フェンシングの言葉と数学の言葉
B三平方の定理、相似な図形
を扱いました。
@について。
23日(金)の指導際に、前回の宿題を確認しましたが、全くやっておりませんでし
た。1問たりとも手をつけていなかったので、「なんでやってないの?」と聞いたと
ころ、「忘れてた」という安直な解答が返ってきました。前回、新しく三平方の定理
をやっており、指導の際に扱った復習問題を宿題としていました。復習なだけにとて
も残念に思います。エビングハウスの忘却曲線によると、何もしないと知識は6日後
に76%を忘れてしまうようです。解きなおしをすることは知識定着のための大前提な
ので、その点をお話し、明日の指導では必ずやっておくことを再度強調しました。た
だ○○くんの場合、言葉で説明をしても、伝わらないと思うことが多いので、これで
はまた二の舞になるだろうという私の予測から、「明日は朝からだから、今日中に宿
題やらなきゃだね。何時からはじめる?」と具体的な勉強時間帯を考えさせる形で問
いました。○○くんからは「4時半からはじめます」ということで返事が返ってきま
した。ここまでやらないと今の○○くんを動機付けるためには少々厳しさを感じま
す。
また翌24日(土)に宿題を確認しましたが、こちらはほぼ消化してありました。ほぼ
とは、問題が飛んでいる箇所があるためです。これは、単純にできないのではなく、
問題を解いているうちに飛ばしてしまうようです。(飛んでいる問題は指導中に確認
をしましたが解けることが多いです)ただし、以前に比べれば格段に飛んでいる問題
数が減っていることは確かのようです。それは評価できるかと思います。また出来具
合はその日中に解きなおしたためが、9割近くの出来でした。すばらしいと思いま
す。あとはこれを継続できるかどうかが重要となってきます。
Aについて。
前回頂いたメールの中で、「フェンシングで高校、大学を目指す」、「攻撃で伸び悩
んでいる」ということでしたので、23日(金)の指導では、今問題となっているフェン
シングにおける攻撃と数学を絡めたお話をしました。
具体的には、両方に共通する【分析力】を身につけるという内容です。
・今の自分の攻撃力をさらにあげるためには、人から見て学ぶことが大切
・たとえば、強い人の攻撃をよく観察してみたら?
・その人独特の攻撃パターンがあるはずで、強い人は数多くのパターンを持ってるは
ず
・試合ではそれらを組み合わせてるんだよ
・数学も同じで、今ここに敵(問題)がいるわけよ
・型は習ったんだから、あとはそれらパターンをみぬくん。どれだろ?って
・見た目は複雑だけど、今習った法則で見破れるはずだから、よく見てみて
・相手のパターンがわかれば、それに対応して攻撃(解法を適用)できるじゃん
といった内容です。
このお話には○○くんも興味を持ってくれたようです。よく「数学はこんなに世の
中に役立ってるんだよ」と説明する先生がいますが、私はそれらはほとんど意味をな
さないと思っています。それらで納得してくれるのは、一部の優秀な生徒だけのこと
が多いように思います。数学自体に興味のない子の場合、今その子自身が問題点と
思っていることと数学を絡めることが大切だと思っています。○○くんの場合はフェ
ンシングの攻撃ということでしたので、上記のようなお話をしました。その甲斐あっ
てか、次の日には宿題をしっかり解いてきてくれたのかもしれません。1時間ちょっ
とかかったようですが、うれしかったです。
また、数学における言葉(単語)が抜けていること多いので、単語をしっかり覚える
ようにも言いました。ただこれだけでは、伝わらないので、単語の重要性について、
これもフェンシングと絡めてお話しています。
・たとえば、フェンシングの一番基礎の攻撃の名前は?
・相手のどこを狙うかで細かく単語がわかれてるわけでしょ?
・単語がわかれてないと師匠に言われても、どうしたらいいかわからないじゃん
・数学も同じで、細かい表現を表すために単語が別れてるんだよ
・それらを覚えないと、何言われても伝わらないよ
といった内容です。
言葉の重要性をフェンシングを通して、理解してくれればうれしく思います。何か
ひとつでも秀でているところがあれば、私は必ずそこから学問(勉強)へとつなげて説
得することが可能だと思っています。今後も機会があれば、お話をしていきたいと思
います。
Bについて。
今回はやむを得ず、宿題でやるべき三平方の定理の問題も扱って、指導を始めまし
た。これらの内容が身についていないと、空間図形などには対応できない(逆に身に
ついていると比較的スムーズに終了できます)ので、復習をしながら進めました。23
日の指導で、○○くんがクリアすべき問題集の問題を終えました。
また、24日の指導では、宿題で出来なかった問題から確認をしました。ただ自力解
決できた(ヒントなしで)ので、なぜ解けなかったのか不思議に思います。以前私が教
えていた子でも、一人ではできないが、先生が隣にいると一人でできる子がいまし
た。単にすぐにあきらめてしまうあきらめ癖があるだけということも考えられます
が、何か他の要因もあるのかもしれません。○○くんにどうして解けなかったのか聞
いてみると「この計算ができなかった」と式をひとさし指で指して言っていました。
具体的な返答だったので、おそらく本当にできなかったものと思われます。
今回の指導で、相似な図形の約半分程度が終了しました。次回の試験前に全内容が
ぎりぎりで終了できるかと思います。復習ができないことが不安ですが、出来る限り
のことはやっていきたいと思います。
この子はおそらく小学高学年頃の算数からの知識が全くありません。(もっと前かもしれません。客観的にいうと、三角形の面積の公式を言えませんでした)。
この子の指導の目的として私が考えていることは2つあります。
・計5年以上のブランクを埋めること
・数学を通して思考力を高め、フェンシングに応用できるようにすること
特に、後者を大切にしています。
この子は、将来フェンシングで日本のトップアスリートになる可能性を秘めた子です。
この子にとっては、数学の問題を解けるようになることは将来的に全く意味がありません。問題なのは、将来的にフェンシングの現師匠を超えることです。師匠は元日本代表レベルの方です。その師匠を超えることで、この子は日本のトップになります。
でも、その壁を越えるためには、他人からのアドバイスを受けいれるだけでは無理です。最終的には、師匠の考える基礎・基本となる攻撃方法、防御方法などをマスターしたあとに、それらを組み合わせたり、他人から自力で盗み取る作業が必要となってきます。自力で考え出すには、思考力が必要で、その思考力を高める題材として数学を使用します。
もともと中学、高校の教科(学問ではありません)は能力を鍛えるために存在します。しかし、単に問題の解き方を覚えるだけでは、思考力は身につかないことがすでに研究されています。数学の問題が解けるだけでは、単に数学の世界だけで他の世界(たとえばフェンシング)に応用ができないんですよ。入試問題を解くためだけに数学を勉強することは意味がないんですよ(当然、合格という側面においては意味があります)。だから、この子には、数学を題材とした能力要請をメインに指導をしています。
数学という教科を通して能力を鍛えることで、それらをフェンシングに生かす…というのが主な狙いです。私のできることは、この子に考える力を身につけさせてあげることです。そのためには思考方法を伝授し(できれば、思考方法そのものを考えさせ、獲得させ)、さらなる飛躍に向かってくれれば私としてもこれ以上の喜びはありません。
今回は、分析する作業を数学を通して学んでもらました。上記の指導報告では、説明不足の点がありますが、ポリヤのストラテジーなども使用して指導しています。
将来の日本のためにも指導をしていきます。