先天的に、目の見えない人が医学の進歩によって手術を受け、目が見えるようになった。この方に、以下のように質問されたら、あなたはどのように答えるだろうか…
「赤とは何ですか?」
ある人はこう答えるだろう。
「赤とは、波長0.6ミクロンの範囲にある光によって体験される色である」
またある人はこう答えるだろう。
「これは赤い帽子ね。これは赤いペン。これは赤い服。これは…」
果たしてこの目の見えなかった人にとって、どちらのほうが「赤」という概念が伝達された、と言えるであろうか?
実は、上記のお話R.R.スケンプという方が書かれた「数学学習の心理学」という本のなかで出てくるお話です。
みなさんはどちらのほうが「赤」という概念が分かりやすいと思いましたか?
最初にあげた人の説明方法は、いわゆる定義を与える教え方になります。二人目に挙げた説明方法は、例を多く与えることにより、そこから共通属性としての赤を感じとらせる方法です。
一般的に概念を伝達する場合、定義によって与えるだけが唯一の方法ではありません。定義は物事の正確さを表現する意味では大切かもしれませんが、概念の伝達という意味においては、その目的達成のためには有効とはいえません。
当然ですが、数学を教える場合に関しても定義を与えるだけで概念の伝達という目的が達成されるわけではありません。それらを踏まえていない数学教師が多いように感じるのは私だけでしょうか…。このあたりをしっかり踏まえた授業展開をしてほしいものです…。
さて、数学教師の話は置いといて…
ここで、上記を踏まえたうえでちょっと応用して考えてみます。
「勉強」という概念は果たしてどのように伝達されるのでしょうか。
子供たちはお母さんのお腹の中から生まれてきてから、周りの人間の使う言葉に埋もれて生活をします。その中で「勉強」という言葉も学ぶわけですが、最初に「勉強」という言葉を定義によって与えられて学ぶわけではありません。たくさんの例を見聞きしながら、「勉強」という概念を形成していくことになります。
たとえば、ある大人たちは「勉強」という概念に関して、苦しいと言った意味をこめて使用していたとします。おそらく、こういった環境に身をおいている子にとっては、「勉強」という概念の形成には、苦しいという観念が結合します。つまり、勉強は苦しいもの、といった解釈をすることになります。
またある大人は「勉強」という概念に関して、机の上に向かって行うものという意味を込めて使用していたとします。こういった環境に身をおいている子にとって、「勉強」という概念には、上記の内容が結合します。勉強は机でするもの、といった解釈をすることになります。
他にも…
要は何が言いたいかというと、周囲の大人の使用する「勉強」の意味合いによって子供たちの「勉強」という言葉の概念形成に影響を与え、イメージを左右しているということです…。
意識的にしろ、無意識的にしろ子供たちに確実に伝達されています。私はそれらをしっかり踏まえた上での指導が必要だと思っています。
ちょっと話が飛びますが、現在、私は数学のみしか指導をしていません。これがなぜだか分かりますか??
私の中では、数学は楽しい、数学は面白い、数学は頭を使う、数学を通して頭を鍛えられる、といったようなプラスのイメージがあるのが数学だけなんです(恥ずかしいお話ですが…)。
他の教科に関しては、数学と比べるとプラスのイメージが少ない状態で、どうしても数学以外の教科を教える場合においては試験の点数に固執しすぎてしまいます。「点数さえ取れれば良い」といった思考で教えてしまうことになってしまうのです。
仮に指導者の思考が、上記のような点数だけに執着してしまうと、子供たちもそれだけに執着することになります。徐々に、「勉強」という概念が、試験で点数を取ること、といった解釈になってしまいます。試験で出るヤツだけ覚えれば良い、といった解釈になってしまいます。試験がないと勉強しない子になってしまいます。
だから私には数学しか教える資格はないと思ってます。他の教科を教えることは、子供たちを被害者にすることにも繋がります。
現在、家庭教師のグループを運営していますが、みんなにもよく言ってます。
「教えるのは好きな教科だけでお願いします」
と…
家庭教師の場合、一人の先生が複数教科を教えることが多いですが、指導者が苦手と感じている教科を教えることは、子供たちにその教科のマイナスイメージの概念を伝達することに繋がりかねません。
そんなことは絶対にやってはいけません。
私はそう思ってます…
「勉強」は一生涯つきまとってきます。
これら「勉強」にマイナスの概念伝達をしてしまうことは、子供たちにとっては、負の財産です。そんな負の財産の伝達は決してしてはいけません…
指導者の「勉強」に対する考え方はとても大切です。
大人の「勉強」に対する考え方はとても大切です。
保護者の「勉強」に対する考え方はとても大切です。
知らず知らずのうちに子供たちに概念が伝達されていることに意識を向けてみてください…
きっと子供たちに接するスタンスが変わると思いますよ…
p.s.
うまく伝わりましたでしょうか?
私は文章力がなくて、ほとほと困ってます…
もっと表現豊かにならないとこれからどうやって人生いきていけばいいんでしょうか…(泣)
最近もここ2週間ほどで4冊の本を読みました(こちらにアップしています)。色々な本を読んでいて思うことは、みなさん表現が豊かだなぁ…ということです。文章表現がうまいです。
はぁ…
もっと頑張らなきゃ…。
勉強不足ですね。。。
それでは〜。