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2007年03月14日

ストラテジー指導

自分の研究分野と関連ある論文を調べていたら、筑波大のある方の論文が引っかかりました。10数年前くらいの論文?(正確な年数忘れました)でした。

現在、その方は何してるんだろう?と思って調べてみると、現開成高校の数学教員の方でした。ちょっと興味があったので、この方の書いた著書のなかの簡単そうなものを1冊読んでみましたよ(^^)

ここに掲載しました。



この方の修士論文、博士論文のテーマは高校数学における問題解決のためのストラテジー関連の研究です。論文をしっかり読んだわけではないので、何とも言えませんが、高校数学における問題解決のためのストラテジーを14〜15種類にわけています。この本では、そのうちの使用頻度の高いとされる10種類を紹介してます。


具体的には、以下の10種類です。

1、Analogy(類推)
2、Work backwards(逆向きにたどる)
3、Go back to definition(定義に戻る)
4、Reformation(再形式化)
5、Indirect proof(間接証明)
6、Fewer variables(変数を少なくする)
7、Symmetry(シンメトリー)
8、Logical reasoning(論理的推論)
9、Specialization,Generalization(特殊化、一般化)
10、Inductive thinking(帰納的思考)
です。



この本の中では、上記10種類のストラテジーを読者に理解してもらうために、各ストラテジー単位に数学の問題を掲載し、数学の問題を解きながら理解できるように書かれています。

一応、この本によると意欲的な高校生、数学教育に興味のある方向けに書かれているそうですが、問題のレベルがかなり高いです(と私は思います)。

実際、この本の一文を引用してみますが、「中学生から馴染みのあるルート2が無理数であることの証明」と書かれていました…。


馴染みないでしょ…(笑)


開成で教えてるとそうなっちゃうのかな?と読みながら、思ってしまいましたよ…(あとで同じ専攻のM1の開成出身の方にこの先生の評判聞いてみます)





そんな余談はさておき、上記の10種類のストラテジーについて、この本のなかでどう紹介されているのか、簡単に書いてみたいと思います。(長いので、興味ない方は飛ばしちゃってください)



1、Analogy(類推)
・3次元の問題を2次元にして考えてみる

2、Work backwards(逆向きにたどる)
・結果から逆向きにたどって考える
・目的を指向しての思考

3、Go back to definition(定義に戻る)
・どう考えたらよいか途方に暮れたとき、議論の出発点に戻り、そこから考え直すことが役に立つ
・定義にとどまらず、「もとに」戻ることが重要
・思考につまったときには基本に戻ることが大切

4、Reformation(再形式化)
・解決しにくい問題を次から次へと扱いやすい問題へと変形して解こうとする考え方
・問題が複雑で取り扱いにくいとき、より扱いやすい問題へ原問題を次から次へと「生産的改造」していくことが問題解決者に一般的に要請されている

5、Indirect proof(間接証明)
・直接証明がうまくいかないのならば、方向転換して間接証明、背理法で証明。結論を否定して矛盾を導く
・直接的に攻略しようとしても上手にいかない場合、迂回して違った方向から攻略するという柔軟な発想が要求される
・間接証明を利用することにより思考が節約できる
・背理法以外には、対偶による証明、同一法、転換法など
・真正面から攻略(直接証明)しにくいときは、迂回作戦(間接証明)と心得る

6、Fewer variables(変数を少なくする)→2つの意味がある
・変数の少ない問題に摩り替えて考える(まず、文字4を文字2にしてみてから)
・変数の少ない、考えやすい問題によって本来の問題への洞察を得ようとする考え方
・analogy(類推)の特殊なもの
・多くの変数を含んでいる問題では、より少ない数の変数の形に置き換えて考えていくことが解決への重要なステップ

7、Symmetry(シンメトリー)→5タイプあり
・大小関係を設定して、一組の答えをみつける
・見当をつける

8、Logical reasoning(論理的推論)
・内容に立ち入って考える必要がなく、形式的にてきぱきと処理することが可能
・具体的な意味内容から離れる形式的処理の長所
・「形式的」に処理しようとしますと問題内容に干渉されることなく、てきぱきと進む

9、Specialization,Generalization(特殊化、一般化)
・一般的性格を有する問題では、「特別な場合」をヒントにして、解決へ向かっての洞察を得ることがポイント
・最も単純で特別な場合を調べることにより、一般の場合への示唆が得られる
・一般化することにより、より広い展望が与えられることによって、いろいろな知識を応用できる場面が生ずる


10、Inductive thinking(帰納的思考)
・帰納的操作→パターン発見→数学的帰納法による証明
・帰納的に操作して、具体的に考えていくことの重要性


具体的な数学の問題を知りたい人は、実際に読んでみてくださいね。






それと、ストラテジーって何?って方もいると思うので、ストラテジーについて言及している文をピックアップしてみます。


●ノンルーチン問題(解法がアルゴリズム化されていない問題)において、どう考えたらよいか、手助けとなる数学的な考え方を示唆するものがストラテジー

●ストラテジーは問題に対する取り組み方のヒントを示唆するだけであり、問題解決者に活動の余地、解答を発見する余地(発見的要素)が残されている。

●解法がアルゴリズム化されていない本来の「数学的問題」には必ずどこか考えさせる要素があり、問題解決者は「発見的」に解決することが求められる。これがストラテジー指導の存在価値

●ストラテジーは考えるべき方向を示唆してくれるものであって、その後は自ら考えること、考え抜くことが要求される

●ストラテジーのひとつの特徴は、考え出すべき方向を示唆するだけであり、問題解決者自らの活動の余地が残されている。問題解決者には自分で解いたのだという実感のもと、解いたときの喜びの機会が保障されている。表題の「発見的」とは、こういう意味。

●問題解決の教育的価値は、自らの力で考え抜く態度を養うことに存在する



イメージわいてきましたか?
概念の伝達にもあるように、ストラテジーという言葉に不慣れな人でも伝わるように、同じ意味合いであっても、あえて文をまとめず掲載してみました(^^)ストラテジーという言葉の使用例がたくさんある方が、理解しやすくなると思います。






ここで、ちょっと感想を…
この本を読んでいて思ったことは、数学の問題を解いてるときって上記のような考え方って当たり前のように使ってる…ということです。

たとえば、3次元の問題で分からない問題があれば、次元を落として考えてみたりはしょっちゅうですし、具体的な数字から一般化したりもよくありますし…。

でも、これは、数学がある程度できる方であれば当たり前ですが、苦手な子供たちにとってはこんなふうに数学を考えないですよ…。
多くの場合は、「見たことないから、できない」「知らないパターンだから、できない」じゃないですかね…



だから、子供たちに教えるべき重要なことは、解決困難な問題に出会ったときに、これらのストラテジーを意識して、試してみましょっ、てことです。


よく「試行錯誤しなさい」なんて、無責任なこと言う方がいますが、子供たちにとっては、試行錯誤する方法すら知らないんだから、どうしたらいいかわかるわけがないでしょ。

その試行錯誤する方法を教えることが大切で、このストラテジー指導を通して、学習することができるように思います。




また、敏感な子(賢い子)であれば、単に指導者が一方的に数学の解法を教え込んでも、そこからどういった視点で問題を見ればいいのかトカ、どういう考え方なのかトカ、を汲み取れるだけの力があるから良いかもしれませんが、全員がそんなことできわけではないです。

だからこそ、ストラテジーとして明確に言語化し、意識させる必要があるように思います。当然、ストラテジー指導の際には、内容面を教えることを目的とするわけではなく、ストラテジーを教えることを目的とした授業展開が必要です。そういったことを意図した授業をしなければ、ストラテジーの学習は難しいものになってしまうでしょう…







それと、もっともっと大切なこととして…
これらストラテジーを学んだ以上は、数学の世界でしか使えないんじゃもったいないです。

上記で出てくる「問題」とは、「数学の問題」を指していますが、より広く「生活上の問題」においても応用できるようにならないと…


たとえば、私であれば、目的達成が困難な子供たちの指導のために、上記ストラテジー使用したり、自分の塾を確立するためにストラテジーを使用したり…。もっと砕けていうなら、UFOキャッチャーで目の前にあるぬいぐるみを取るためにストラテジーを使用したり、彼女を作るためにストラテジーを使用したり…(笑)

最後のは余計ですね(笑)





…とまあ、偉そうなことを書いてみましたが、私もまだまだ勉強不足です。。。

ツッコミどころいっぱいです(笑)
しかもちゃんと答えられるかも微妙ですし…


勉強します。








p.s.
人っていろんなこと考えるんですね…
先日の記事で、「まず考えがあって、行動がある」って書きましたけど…


これとか。
これとか。
(上記の2つはPVです)


こういう表現がされてるってことは、これを作った方は、何かしらの考えがあって、行動して、作ったわけですよ…

どう考えたら、こういう表現ができるわけ???


凄すぎですよ…
(私は上記2つの世界観が大好きです)


う〜ん。


posted by yuichi_saito at 00:14| 家庭教師指導記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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