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2008年03月18日

指導法を公開します☆

数学の先生になりたいと思ってどのくらい経つんだろう?

中学生の頃にお世話になった数学の先生が大好きでしかたなかった。あんな先生みたくなりたくてずーっと突っ走ってここまで来てしまった。

塾やら予備校やら家庭教師やら、そしてもっともっとさらなる高みを目指して大学院にまで来て「数学教育」やら「授業設計」やら「教師教育」やらまで垣間見て…



日々、いろんなことがあるけどずーっと変わらない自身のテーマ。


それが…
「真の教育とは何か?」



そしてそれをもっと具体的に表現したのが…
「もっと伸ばせるはずなのに…」




指導者さえ優れていればどんな状態にある子供だって、どんどん伸ばせる"はず"という信念のもと、指導法をずーっと模索し続けてきた。

今はそれらをほかの方々が参照し共有できる状態にするために定型化してます。もちろん私が考えてきた指導法を単に定型化するだけではなくて、すべての教師が自身の指導法を定型化することを意識しながら実際に生徒指導することで自身の指導力向上に努めることが大切だと思ってます。

ごく少数の一部の人間だけが指導法を考え、それをほかの大多数の人間が単に享受するのでなくて、指導する側の人間全員がアイデアを出し合って、刺激しあってさらなる高みへみなで成長していく…


そんな集団を目指してこれからもがんばります。

みなで共有している指導法の具体例をちょっとお見せしますね…(^^)/


○計算ミスに対する指導法

1、背景
 数学において計算ミスをすることは、入試では致命的と言える。
計算ミスはできるだけしないことが望ましいが、
人間である以上は計算ミスしてしまうことも否めない。
 また、計算ミスの指導に関しては、指導者が単に「気をつけないさい」と
口頭で言うだけで済ませてしまうケースが後を絶たず、
実際問題としてどう指導すれば計算ミスが減らすことができるのか
が明らかになっていない。


2、目的
a:計算ミスするものとして認識させる
b:計算ミスに気付くべきタイミングを教える
c:計算ミスした箇所を自分で見つける力の育成


3、方法
a:テスト中に見直しをさせる

 そもそも計算ミスをしないものとして捉えること自体が間違いである。
計算ミスは必ずするものとして捉え、「テストの時間内に何問発見できるか?」と考え、
時間いっぱいまで見直す作業をすることが重要である。
 できれば全問題を2回ずつ解きなおすことが望ましいが、そのためには、
テスト問題をできるだけ早く解くことが必要となる。
 試験中に手が止まってしまうようであればあきらめるくらいに思っておく。
テストはあくまでもテストであって、その場で考えるものではない。
普段の学習では考える時間をたくさんとっても構わないが、
テスト中はひたすらアウトプットの時間と捉えることで時間を捻出し、
その分計算ミスを探す時間に費やす。


b:指導中に計算ミスをした場合はあえて言わない

 たとえば文章題であれば、あきらかに少数や分数にならない場合がある。
生徒が計算ミスをして、のちのちに文章題との
整合性を考えた場合にミスに気付けることがあるが、
指導者がその場で指摘してしまってはその気付く機会を奪ってしまうことになる。
 また、仮にそのまま少数・分数で答えを書いた場合は、整合性から気付くべきだった、
とすべての作業を終えてから指摘するべき。
 その際に、どこで気付くべきだったか、気付くポイントを指導する。


c:計算ミスをできる限り自分の力で探させる

 計算ミスをしてそのまま答えにしてしまうケースがある。
この場合、指導者が計算ミスをしている旨だけを指摘する。
どこが間違っているのかまで指摘してしまうと、結局自分で探す力がつかないので、
「間違っているよ」という情報だけを与える。
 その後、一行一行自分で書いた式を吟味させることによって、
間違っている箇所を探させる。
 仮に見つからない場合は、「この変形は大丈夫?じゃあ、ここは?」といった具合に、
一変形ずつ発問を繰り返す。
この場合の注意点としては、間違っている箇所を悟られないように、
注意しながら発問をする。
 この発問の意図は、いずれは自分で一行ずつ確認できるようになるためである。
 指導者がどこが間違っているのかを指摘してしまうことはとても簡単だが、
あくまでも上記の発問を丁寧にしていくことによって、
自分で探すことができる力を育成することが狙いである。


4、コメント(注意事項など)
当然、上記の指導がすべてではありません。
随時、自分なりの指導法を確立していきます。
何かご質問などございましたら、
何なりとお申し付けください。




○リスニング力向上のための指導法
1、背景
センター試験や一部私大でリスニング試験があるが、
文法問題や長文問題の陰に隠れて対策があまりなされていない。
しかし、リスニングはリーディング能力のアップにもつながるので必要だと思う。

2、目的

リスニング力を伸ばし、リーディング力の向上と相互効果を計ること

3、方法
音声(CDやカセット)付のテキストを用意する。
このとき、用意するテキストのレベルは練習方法によって異なる

難易度はあくまでも私の主観的なものです。
☆1つ:英語が全般的に苦手(偏差値〜50)
☆2つ:リーディングはある程度できるがリスニングになるとできなくなる(偏差値50〜60)
☆3つ:リーディングで語彙がわかれば的確な訳ができる(偏差値60以上)
☆4つ:全般的にできて、さらに英語の力を上げたい方


@オーバーラッピング(難易度☆)
用意するテキスト:自分のリーディングレベルより1段階下の教材

*ここでいうリーディングのレベルとは『英検の級』を目安にしてみてください。
4級の生徒なら5級レベル、2級なら準2か3級ということです。
なぜかというと、自分のレベルの級やそれ以上だと、
わからない語彙が多く出てきて、モチベーションが下がる原因になるからです。
リスニング学習はかなりの集中力が必要になるので、レベルは少し軽めのほうがいいのです。

オーバーラッピングは、テキストを見ながら音声にあわせて発音をする練習です。
1度テキスト全体に目を通し、声にだして発音しておいてください。
意味が気になる方は意味を把握した上で取り掛かってください。

この練習で大事なのは『音声のまねをする』ということです。
音声をまねることで、正しい発音をインプットしていきます。
リスニングの音声に自分の声を近づけることで、英語の発音に慣れてもらうためです。
もうひとつ大事なこととしては、この練習中は『英文の意味を気にしない』というところです。
意味を気にしすぎてしまう人が多いように感じますが、ここでは『音に慣れること』が大切になってくるのです。
上で述べましたが、意味が気になるなら先に把握してかまいません。

Aディクテーション(難易度☆☆〜☆☆☆)
用意するテキスト:自分のリーディングレベルより1段階下、慣れてきたら同程度のテキスト

ディクテーションは聞き取った音声を紙に書いていく練習です。
この練習を通じて学んでほしいことは、

・単語を正しく聞き取る力を養う
・聞き取った単語を正しくつづる練習

練習の過程として、
1.全体を一回聞き、テキストの意味を考える
2.意味の塊(句・節・文)ごとに音声を止め、聞き取ったものを書く
3.一通り終わったら、書いたものを見直して、「文法的におかしいところ」を訂正する
4.テキストを見て、間違えを訂正する
5.もう一度音声を聞く、このとき聞き取れなかったところ、つづりミスをしたところを特に注意して聞く

Bサイトトランスレーション(難易度☆☆☆☆)
用意するテキスト:自分のリーディングレベルより、1か2段階下のテキスト

サイトトランスレーションは、ディクテーションのように、意味の塊ごとに音声
をとめ、それをその場で訳していきます。
(実際のサイトトランスレーションは音声を止めずに聞こえてきたものを頭から訳していく練習です)
ディクテーションと違うところは、『意味を大切にする(的確に捉える)』という点になります。
このあたりから、リーディングとの相互効果が出てきます。
リーディングの際、文全体に目を通して、主語を確認して、文型を確認して、修飾語をつなげて訳をだす、
という風に、英文和訳などの際はこのように細かくやればいいですが、速読を行う際は、英文を頭から理解していくのが最速の方法ですよね?

たとえば、

I saw a man walking along the river with his dogs.

という文があったときに、訳は
「私は、川沿いを犬たちと歩いている男性をみかけた」となり、
この通りに単語を並べ替えると、

I / along the river / with his dogs / waking /a man / saw

となり、英文を右往左往して正しい訳にしますが、
この文を頭から、
「私は/ 見た/ ある男性を / 歩いている / 川沿いに / 犬と」
と訳したときに、意味がとれなくはないですよね?
速読は英文を見て、このように頭から情報を得て、整理することで理解できているはずです。
ようは、サイトトランスレーションではこれを「視覚的」ではなく「聴覚的」に行う練習をするということです。
ただし、これは速読が出来るレベルになってからやるべき練習ということを付け加えておきます。


Cシャドーイング(難易度☆☆〜☆☆☆☆)
用意するテキスト:自分のリーディングレベルより1〜2段階下、慣れてきたら同程度のテキスト

シャドーイングは聞きとった英語のすぐ後について声を出し、影のようについて
いく練習のことです。
聞き取った英語をすぐに口に出し続けなくてはならないので、聞き取った音の意
味を瞬時に把握するトレーニングになる。

初級者向けには、すでに理解したテキストを使い、リピーティングの一環として行い、
発音、イントネーションを出来るだけ真似、英語のスピードになれるよう心がける。

*所要時間について
リスニングの割合については、毎日10〜15分程度でよいと思います。
毎日15分やったとして、1週間で105分(1時間45分)。
これを1日でやるのと毎日やるのでは、毎日やるほうが効果が出ます。
また、リスニングをするときかなり集中力がいるので、これくらいでちょうどいいのです。

4、コメント(注意事項など)

上記にあげた方法は、練習方法であり、各生徒に向き不向きがあると思います。
また、それぞれの練習法にあったテキストを探すのも難しいと思うので、
僕は「NHKラジオの英会話」を毎日やることをお勧めします。
というのは、番組のレベルが中1レベルからビジネスレベルまで幅広くあり、
かつ時間も毎日15分〜20分という長さで、毎日やるにはちょうどよい長さだからです。

番組の構成が半期、または一年単位で変わってくるので、
今期は初級で次は中級という風に、慣れてきたら難易度を変えることもできます。
また、上記であげた練習方法も数多く取り入れているので、効果的だと思います。



○作文が苦手な子に対する指導法
■都立作文

都立入試国語には、大問の4に、その文章の内容に関する200字程度の作文がある。

これは

・生徒の文章表現力をみる
・作文用紙の使い方、言葉遣い
・文章の内容が理解できているか
・自分の意見や体験が述べられるか。

などを見ていると考えられる。

作文の採点基準は各校に任せられているので、一概には言えないが、例えば点数が並んだ時、作文の内容の優劣で判断することも考えられる。また、上位校では、その字数を増やす(200字〜300字程度)傾向にあり(立川など)、上記のような際の判断として使っている可能性もある。このように都立入試においては、作文の持つ意義は重要になってきている。


■対象とされる生徒

この作文での配点は10点であるが、何の対策もしないまま試験に向かう子も見られるし、そのような状況に対して何の対策も行わない学校すらある。

ここでは、極めて国語が苦手な生徒、特に「作文」と聞くだけで、固まってしまい一行も書けなくなる生徒を対象にして、その生徒が当日最低でも5点は取れるようにする方法を提示する。

作文が極めて苦手な生徒は、そのほとんどが国語自体が苦手な生徒と考えられる。故に、彼等の読解力にも留意した指導が望まれる。そして、試験においては「白紙」で出したり、文章とは関係のないことを半分くらい書いて提出することが多い。
ここでの「作文が極めて苦手な子」は、模試の偏差値で言えば40から50の間を行き来する子か、またはそれ以下の子を想定している。

このような生徒に対して、私は「試験では絶対5点は取ろう、必ず取れるようにさせるから」と声をかけ、指導をおなっていく。


■指導方法

指導方法としては以下の三つの手順をたどる。

1. 作文の目的を確認する
2. 型の提示
3. 型に添った演習


1.作文の目的を確認する

 ・自分の考え、意見が述べられること
 ・また、採点者に自分の意見を「納得」してもらうこと
 ・そのためには、そういえる理由が必要であること
 ・文章が読めているということをアピールすること
 ・8割以上の字数を書くこと


これらを丁寧に説明し、理解してもらう。


2. 型の提示

これらの目的を説明して、「さぁ書いてみようか」といったところで、作文が極めて苦手な生徒はほとんど書くことはできないだろう。

そこで、こちらで「これに機械的に当てはめれば書ける」という型を用意する。

それは以下のようなものである。

@筆者はこの文章で〜と言っています。※
A私はこれに賛成です。
Bなぜなら〜だからです。
C私(私達は)〜していくべきだと思います。


※「〜」は本文の引用であり、同時にその文章おける筆者の最も言いたいことである。
生徒には「筆者が一番言いたいことを、〜に当てはめるんだよ」と言う。これは通常の授業の訓練において、筆者の意図を考える訓練と並行して行っていく。
その中では特に、「〜すべきだ」、「〜だと思う」などの筆者の意見を表す表現を意識させていく。
しかし、どうしても分からない場合は、最終手段として「本文の最後、もしくは最初」で手ごろなところを〜に当てはめるように言う。
これはあくまでも最終手段であり、試験の直前までは提示しないことが望ましい。

この型は、都立大問4が論説文であり、社会や人々に対する提言を含む内容になっているという推測に基づいている。
ここ10年ほどの過去問を確認する限り、おおよそこれに当てはまる。

また、採点基準は各高校に委ねられるが、仮に大手進学塾や全国規模の模試採点基準を採用すれば

・字数(2/2)
・原稿用紙、誤字脱字(2/2)
・内容(2/2)
・表現力(2/2)
・本文の内容に適しているか(2/2)
計:10/10点

以上の基準からから

・字数(2/2)
→他に引用によって、字数が確保でき、字数による点数が取れる。
・原稿用紙、誤字脱字(1~2/2)
→実際の指導の際は、原稿用紙に先ほどの型を書き入れ、
・内容(1/2)か本文の内容に適しているか(1/2)

で5点を確保することができる。


3. 型に添った演習

上記の型に沿って、演習を進める。作文、国語が極めて苦手な子は、最初は引用すらうまくできない。ましてや、理由を考えることは困難である。
しかし、「〜(筆者の言いたいこと)」を一緒に考え、型に当てはめていくと、機械的であるが、とりあえず200字書くことができるようになる。
この「とりあえず200字書くことができた」という実感を持たせてあげることも、作文、国語が極めて苦手な子にとっては大切なものである。

また、型に添った作文演習の中で、論説文を読むことで、筆者の主張を意識しながら読ませることができる。
この型による演習は、読解力の強化も期待できる。

しかし、ここ数年の都立の作文は、「自分の体験に基づいたスピーチの原稿を作る」という形の問いになっている。
型のB(理由)を自身の体験から述べられるように指導していく。
もし、自身の体験がつむぎ出せず、Bをそのまま理由の形で書いたとしても、先ほどの採点基準に照らし合わせて5点は見込めると考えている。

型に沿って作文が書けるようになったら、次第に型を崩すような指導をしていく。


■さいごに
これは、塾にいるとき、模試で作文を白紙で書いて出す子があまりにも多い、という現状を見て考えた方法です。
たしかに高得点は望めませんが、何も書かないで0点によりは良いということです。

このような指導方法を通して、どのような生徒も何とか200字は書けるようになります。
また、この型を通してステップアップしていく子も見られます。

論説文の読解指導の中で、行っていくとよいと思います。






定型化するのはほんとに難しいけど、それを意識していくことでどんな指導を行っているのかが明確になっていきます。




わたしは指導者には大きく2つの力が必要ではないかと思っています。

・状況を把握する力
・状況にあった指導法を適用する力


グループで行っている研修(上記は"指導法ゼミ"の一部です。全3種類あります。家庭教師グループでは家庭教師間の関係性を大切にしていて随時質問することもできます(^^)/)は、この2つのうちの後者のなかの後半部分の育成に役立てています。

状況にあった指導法を適用するためには、まず、指導法をいくつも持ち合わせていなければいけません。そのきっかけをあたえるのがこの研修の目的です。(実際の生徒指導では、それら指導法のなかから、どれを適用するのかを考え、選択し、適用できる必要があります…)



より良い家庭教師グループになるように、これからもがんばっていきます☆
posted by yuichi_saito at 01:15| 家庭教師指導記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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